The World Is Hers: 初音ミクはどのように全てを変えたのか [海外掲示板翻訳]

"バーチャルアイドル"初音ミクを生み出したクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長はポップカルチャーという非常に賑やかなバンドワゴン(時流に乗った動き)のハンドルを握る人物です
そして彼は我々にこのバンドワゴンがどんなものなのか理解を理解させたがっています
"初音ミクとは(一つの)ソフトウェアです、ヤマハによって開発されたボーカロイドというテクノロジーを搭載し、我々はライセンスを得て初音ミクの開発に当たりました。"と伊藤氏は話します
言うなれば初音ミクのファンと宣言する事はKORGのTRITONやフェンダー・ストラトキャスターなどの楽器ファンである事と似ています
あなたが応援するものが楽器か、それともパッケージにアニメのイラストが描かれている上にパソコンにインストールしなくてはいけないソフトウェアかの違いだけです、しかしこれも楽器なのです
そしてボーカロイドというブランド自体では特に初音ミクや周りを取り囲むカラフルな友人達を指す言葉ではなく、音声合成エンジンを指しています
つまり、"ボーカロイドのファン"であることはあるギター弦のブランドのファンという意味に例えることが出来るでしょう
しかし誰がそんな意味を気にするでしょうか、新生のサブカルチャーというものは単語それ自体に特定の意味を帯びてしまうものです
今日の"ボーカロイド"はそのイノベーションから生まれたメタバース(仮想空間)全体を示す言葉になっています
ボーカロイドは個人作曲家がソフトウェアを用いて作り出した無限のレパートリーを持つ曲であり、それに伴う画像やビデオであり、それらのイメージから生まれたミームでありストーリーラインであり、それぞれ声を持ったキャラクターファミリーです
そしてアニメエキスポの参加者なら口をそろえてこう言うでしょう、「ボーカロイドとはキャラクターのあらゆるバリエーションにドレスアップしたファン達です」と、
これはクリプトン・フューチャー・メディアのマーケティング・ディレクターを務める佐々木渉氏も驚いたバイラル効果(クチコミ)でした
佐々木氏は「YouTubeやニコニコ動画といった動画共有サイトを通じてボーカロイドが用いられ、また全く前例のない方法でこれほど多くの国で人気が出ており深く感銘を受けている」と話しています
今日のメインストリームエンターテイメント分野の大半が大企業によって運営されている中で、自己推進的のボーカロイドは全てを覆しています
「この現象に対して最善の手法を探すために努力を重ねてきました、我々はこれらの扱いはファンからのフィードバックを得ることが最善であると信じています....そして決してお金儲けを急ぐことはしません。」と佐々木氏は話している

左:伊藤博之氏、右:佐々木渉氏
クリプトン社はMP3が生まれて間もない1995年に設立しました、YouTube出現から10年も前、アニメの女の子を擬人化する文化もまだほとんど表に出ていない時代です
伊藤氏は「我々にはボーカロイドを開発したり、音声合成ソフトを開発するという目標では無く、もともとは音に関連するものを扱う会社としてクリプトンを設立したんです」と話す
伊藤氏を"ミクのお父さん"と呼ぶのであれば彼女の祖父母は2003年にボーカロイドを開発したヤマハになるでしょう
当時について伊藤氏は「ボーカロイドのような技術が存在したことは知っていて、何か出来るのではないかと考えてました。ちょうど我々はヤマハとのお付き合いもありましたし連絡を取って製品の開発に進めました。」
しかし、ミクはパーフェクトなものとして舞い降りた天使の歌姫ではありませんでした
彼女のルーツはみすぼらしいフォームの音声テクノロジーにまで遡ります
「日本では合成音声ソフトウェアがかなりポピュラーで駅でのアナウンスなどで用いられています、電話の応答システムにもボーカロイドのシステムが用いられています(ミクの親類がカスタマーサービスのロボット電話だったなんて想像できますか)」
続けて伊藤氏は「第一に合成音声で歌を歌うソフトウェアはありませんでしたし、またそのようなソフトにどれほどの需要があるか、パソコンで歌を歌わせるソフトを開発するメリットについて我々は全く自信がありませんでした。」
この不確実な考えが伊藤氏を次の一手へと導きました、そしてこれがクリプトン社始まって以来のスマートな選択となるのです
「2004年、最初のボーカロイド技術を用いたソフトウェア"Meiko"を開発しました。人間の歌をシミュレートするソフトウェアとして人間味を出すためマンガのキャラクターのようなものにする必要があったのです。Meikoは十分なほどの成功を収め、後の初音ミクへのコンセプトに繋がっていきました」
そして次に何が起きたかは皆さんもよくご存知かと思います

伊藤氏の成功の秘訣は彼がサウンドエンジニアやソフトウェアエンジニアだったからではなくクリプトン社の創立者としてのビジネスパーソンだったというところにあるのではないでしょうか
彼はミュージシャンか?と尋ねられても笑って否定し、「経済学は専攻しましたが音に関することは何もやってません、ボーカロイドを売り出したときも私が学んだ経済のスキルをいくつか使っていると思います」と話しています
アニメエキスポ1日目の基調講演で伊藤氏は初音ミクとボーカロイド・カルトについてのプレゼンテーションを行いました、そこでの彼はビジネスマンの一面を見せています
彼は最初に自分が誰であるか、クリプトン社がどんな事をしているかを述べ、ボーカロイドシリーズのキャラクターリスト(正しくはソフトのパッケージ)を紹介しました
「初音ミク」2007年8月31日生まれ、永遠の16歳、衰えることの無い人気をもったスターである
ミクに次ぐ人気があるのは双子の「鏡音リン・レン」でしょう、特徴的な黄色のトリムと少年少女の組み合わせはコスプレでの人気も高い
音楽の制作者から一番多才な声を持っているとして支持されているのが「巡音ルカ」です
2009年に発売された彼女は音域のレンジも深く、日本語・英語両方で歌う能力を持っています
また「Meiko」や「Kaito」といったミク以前の製品にも根強いファンがいます
またクリプトン社以外のボーカロイドキャラクター達もサブカルチャーの世界に入っています
「Megpoid」は声優の中島愛の声をサンプリングしたボーカロイドで、J-RockのスーパースターGacktの声をベースに開発された「Gackpoid」もリリースされています
また意欲的なスピリットを持つ人々により「Utauloid(通称"UTAU")」というオープンソースの合成音声エンジンまで開発されています、有名なものがピンクの巻き毛が特徴的な「重音テト」である
音楽ソフトのパッケージをまるでホンモノの人間であるかのように語るのはいささか奇妙に感じるかもしれません、しかし伊藤氏が考えたようにそれが彼らを魅力的にしている部分なのです
これらのキャラクターによってもたらされたインスピレーションはYouTubeで36万6000件、ニコニコ動画で9万2600件までの投稿数に跳ね上がっている
ちなみに伊藤氏はとても誇らしげにこの数字を発表していました

コラボレーションのワークフロー
これら増加しているメタジャンルからスピルオーバー(流出)してしまうマルチメディアもある、クリプトンが運営する"PIAPRO(ピアプロ)"は45万件ものボーカロイドに関するテキスト、画像、音楽が投稿されている
ここで顕著なのがクリエイターたちがいかにお互いを鼓舞しあうかという点です
例えば一人のピアプロユーザが音楽を作成する、音楽を聞いた別のユーザがイラストを作成、また別のユーザが動画を作成というプロセスが生まれる、重要なのはオリジナル作者がサイトルールの下でクレジットされるということです
ボーカロイドのファンはアートの分野だけに留まらずエンジニアリングで功績を残した人もいます
これらで最たる物が「MikuMikuDance」です、初音ミクを3次元でモデル化するアニメーションプログラムで口パクで歌を歌わせたり歌にあわせて躍らせたりすることが可能です
そしてより緻密な設定を実現したものが「VocaListner」です、これはボーカロイドプログラムを声が合うように自動で調整してくれます
ミクの動画"Innocence"で登場するヘンテコなタッチスクリーンキーボード"通称:あの楽器"を実際に演奏できる形で再現する人も現れているほどです(スマートフォン用のアプリとしてダウンロードもできますよ)
これらが意味することは全てはファンを通じて動くクリエイティブな生態系が出来上がっているという点でしょう
初音ミクやボーカロイドソフトそれ自体ではなく、それらをどのように使うかという方法はクリプトンからの大きなプレゼントなのかもしれませんね
全般的な権限を持つ大企業にではなく消費者によって作り出されたエンターテイメント、そこでの企業は消費者に数点のツールとルールを与えるだけの存在でよいのです

クリプトン/ボーカロイドのエコシステム(全体の構造みたいなもの)
そんな中でもボーカロイド体験を生き生きしたものにすべく多くのスポンサー付きのイベントがあります
今年のアニメエキスポは日本以外では初となるボーカロイドのライブコンサート「Mikunopolis」が開催されました
それはCGIアニメーションがスクリーンに投影されるというだけのものでしたが、イリュージョンはとても印象的でさらに印象的なのはセットリストが全てファンによって生み出されたものだということです
ボーカロイドという手段を用いて自己表現を行うホンモノのミュージシャンそのものである
しかしながらコンサートでの限界も明らかとなりました、ミクの魔法は左右で40度までしか効かないのです
ボーカルも調整が出来ず楽器演奏の下ではロストしてしまう、合成音声テクノロジーの革新であるミクでさえ敏感な人はを絞め殺されるロボットの声に聞こえるでしょうし
しかし日本のリアルアイドルがどのように言われているか知っていますか? それは「不完全だから完全なのだ!」
ミクは欠点があるからこそとても魅力的になるのです、誰であっても現在進行形の作業に関われるのですから
未来がどうなるかなんて誰が知っているでしょうか?
クリプトンは初音ミクの英語版が近い将来リリースできるのではないかと我々に約束してくれました
日本では新作の改良版ボーカロイドエンジンが開発中なので新たなキャラクターも登場するでしょう、それは韓国語でも歌えるボイスバンクをもったキャラクターの登場も含んでいます
クリプトンのボーカロイドは新しい音色をもたらす"アペンド"という形で発展を続けています
そしてどこかのマッドな天才が今までのボーカロイドの世界をガラッと変えるようなアイデアに取り組んでいます
広く知られているように"初音ミク"という名前は"未来からの初めての音(the first sound of the future)"をもじったものです
ボーカロイド文化は日を重ねる毎に広がり、名前の意味は不正確になっています
そして彼女の音は未来の音ではなくまさしく今現在の音になりました
by Carlo Santos
http://www.animenewsnetwork.com/feature/2011-07-15
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[Hardgearさん(コロラド州)]
歌えないけど音楽制作したい人にその権限を与えるという可能性を示した
ボーカロイドによって生まれた何千もの曲の中にはきっと良い物があるはずだよ
私は未来の音楽制作の形だと思うね、ボーカロイドが無ければ一生表に出ない才能だってあるはず
そういう人たちのチャンスになればいいんじゃね
[DavidShallcrossさん]
ボーカロイドが世界の主要言語をカバーするまでいったい何年かかるんだろう?
とりあえずミクは適切にイタリア語の発音はできないね
「Adesso e Fortuna ~炎と永遠~」のイタリア語は台無しだったし
トルバドゥールをプロヴァンス語で歌わせたい
[kawaiibunny3さん(テキサス州)]
PRIMAとTONIOならイタリア語も出来るはず(オペラのために作られているし)
新しいボーカロイドはロマンス諸語の唱歌も上手くなってるよ
[satokojiさん]
面白い記事だね
創造を止めたオタクは破滅するとか言ってた東浩紀という人がいたけど考えを改めた方がいいんじゃないか?
ソフトだから初期投資が必要だけど同人誌だって紙とインクが必要だから同じだよね
[gwernさん]
それってたぶん岡田斗司夫さんの事だと思う
東さんはデータベース消費論の人かと
[Fabeさん]
言うなればボーカロイドは音楽版「Poser(3Dキャラクタ作成ソフトウェア)」なんだよ
たぶんPoserみたいに本当のアートじゃないとかボカロも軽蔑されるんだろうなぁ
[Pastさん(ネブラスカ州)]
ボーカロイド現象はビジネスサイドから見ると前例が無く先駆者的だよね
ここで鍵となるフレーズはトップダウンではなくボトムアップのビジネスモデルな所だと思う
要するにクリエイティブなプロセスは消費者のレベルにある
そして最終的にパッケージをどうやって販売するかではなく全体のプロセスをいかに良くするかということ
私の予想ではポップカルチャーの裾野を広げる画期的な出来事になる
近い将来、ボーカロイドコンベンションが開かれるのも時間の問題だよ
[kucingilaさん]
ボーカロイドのコンベンションなんて日本じゃ定期的に開催させているよ
東京ならVocaloid M@ster(通称:ボーマス)、Vocaloid Festival(通称:ボカフェス)、
京都はVOCALOID PARADISE(通称:ボーパラ)、大阪はDEAR MASTER!
もちろんどれも公式にオーガナイズされたものではない
[enurtsolさん]
公式に英語版ボーカロイドが出たらサイモン・コーウェルにジャッジしてもらえばいいよ
もし乗り切ったらホンモノって事さ
[Kugutsuさん]
すでにネイティブな英語を話すボーカロイドがアメリカでも発売されているけどね
[Mohawk52さん(イングランド)]
感動した、私はオッサンだけどミクもルカもリンもハクも全部大好きだよ
海外のアマチュアが制作した楽曲を英語で歌う彼女たちが早く見たい
彼女たちが英会話教室に通ってペラペラになるまで待ちきれないぜ
[soft-n-fluffyさん]
うん、いやハクはボーカロイドじゃないよ
ボーカロイド文化って誤解されてるけどCGM(消費者生成メディア)なんだよね
[Gurgehさん]
Voyakiloidだもんな
[Kicksvilleさん(アリゾナ州)]
ミクというキャラクターデザインがあったからこそ成功を収めたと言ってもいいんじゃないか
もしマスコットキャラクターがいなければボーカロイドについてここまで熱い議論をしてないって
[Running Wildさん]
初音ミクも何もかも嫌いだ、カローラオーナーなのに最悪だよ
[Kugutsuさん]
ポップスが嫌いなのか、選択肢は沢山あるぜ
調べもしないでクソとか言わないでくれよ =/
それにしてもボーカロイドのソフトって他と比べても安い方なんだよな
クリプトンのは15,000円だからドルに換算しても$190くらいだし
[Mohawk52さん(イングランド)]
[Lightning Leoさん]
ミクが"全て"を変えるとは言えないがネット文化の新しいミームになっているのは確かだね
そしてミュージシャン/アーティストに拡張されたツールセットをもたらした
彼女をデジタル時代のアイドルというのなら、その後継者はDavid Copeが開発したEmily Howellになると思う
Emilyは人工知能で音楽を作曲するプログラムだが、10年もすれば人間の仕事と見分けが付かないレベルになったりするかも
ボーカロイドと人工知能が合わさると音楽版不気味の谷現象のようなことになるんじゃないかと.....
シャロン・アップルが現実になる日が来るぞ
(http://www.animenewsnetwork.com/)
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最近はコーラスさせるとさらに面白くて「Alice in Musicland」は海外には大ウケみたいね。ああ、動画もよく出来てるからってのもあるか。
| | 2011/08/16 04:45 | URL |